≪ ある晴れた日 ≫



天気が良いから、

今日は洗濯日和。

リョウがまだ寝てる部屋へと入り込み、

寝相が悪く、ベッドの端へと追いやられ使われていない枕を手に取る。

ピローケースを外そうとファスナーに手をやるも、

先ほどまで外に出て悴んだいた指先は小さなファスナーを捕らえる事ができない 。

『もうっ!』

当たってもしょうがない物に若干の八つ当たりを込めて呟く。

力を込めればその反動で枕が手の中から逃げ落ちた。

それを受け止めようと身をのりだし枕を受け止める。

ふわり。

リョウの薫りがした。





いつもなら酒臭い匂いが残ってるはずなのに、

今日は違う。

微かに残る硝煙の薫りが鼻腔を荒らす。

私は思わずリョウを振りかえる。

昨日は飲みに行くって言ってたのに・・・。

仕事を終えてシャワーも浴びずに寝い居るリョウが、

どれだけ疲れてきたのかと容易に想像できたから。



今日はそっと。

そのまま寝かせててあげようと思った。



落とさずに捕まえた枕に再び顔をうずめてみる。

硝煙の薫りの奥の方から、やっぱりリョウの匂いがした。

私はそれが嬉しくて、クスリと笑った。





『抱く物が違うんでないかい?』

おはようと、ベットに横たわりながら、片ひじをついて私を見つめるリョウ。

さっきまで大鼾で寝てたくせに。

そんなのをつゆにも出さずやわらかい笑顔で私を見ている。



持っていた枕をぽんぽんとたたいて形を整えて、

私はリョウの元へと返してあげた。

『おはよっ。 もう少し寝てたら?』

上から見下ろしてリョウへ言う。

そんな事を言う私がよっぽど珍しいのか、

リョウの目が意地悪く見開き、

そして、言った。

『せっかくだから・・・・そうさせてもらうかなっ!』

ニヤリと笑い、枕に顔を埋めて眠りにつくリョウ。

季節を問わず、パンツ一枚で寝るパートナーに、

感謝の気持ちを込めて、私は布団をかけ直してあげた。

『たまにはね・・・・お疲れ様♪』

眠るリョウにそう言って、私はドアを静かに閉める。



あぁ・・・久しぶりのお天気だったのに。

ピローケース・・・洗いたかったのに。

枕も干したかったのに・・・・。




でも、まっ、いいかぁ〜。

私の仕事が1つ減った分、

リョウが起きて来たときに美味しいご飯が食べれるように用意してあげよう。

どうせ、何も言わずに飲み込むように食べてしまうリョウだけど。

いつも残さずに食べてくれるリョウだから。

出来上がったら、また、起こしに行ってやろうっと。






天気の良い日には、こんな事が稀にある、二人の平穏な日常。








end

く、ふふふふ♪(*^^*)
この度、相互リンクして頂いているDawn and Duskの季子様より
素敵な素敵なお話を頂きましたですvvv
しかも、心の中からほんわかとあたたかくなって、
それでいて青空のようなさわやかさも感じられるような
素敵なプレゼント(^^)
委員長、本当に本当にこのたびはありがとうございました(ぺこりっ)

Back