俺はミックエンジェル。
最近、本業の新聞記者よりもゴシップ記者の
ほうがむいてるんじゃないかと、
口の悪いヤツには言われている。

大きなお世話である。

あくまで、向かいのアパートのレポートを
書いているのは、趣味と副業の産物である。
本業ではないという点は、はっきりとさせて
おくべきだろう。
・・・まぁしかし、このところ重点を置いて
生活している事は、否定しない。

先月のバレンタイン当日は、
カオリの手作りチョコももらえず、
レポートも散々だった。

そのせいでミス ユカからは
たぁ〜っぷりと辛口コメントを
頂戴している。

そしてチョコは、カオリが
申し訳なさそうに後日俺にもくれた。
残念ながら、手作りではなかった。

やはり、リョウのヤツがせっかくカオリが
心をこめて俺の為に作ってくれていたチョコまでも
食っちまったらしい。

今日は、ホワイトデー。
カオリへ、後日貰ったとはいえ、チョコの
お返しをしなければならない。
それが紳士というものだ。

右のポケットには、カオリへの気持ち。
左のポケットには、お返しのキャンディーをつめて
俺はお向かいへ向かった。

前回バレンタインは、夕方で失敗した。
だから、今回はお昼の時間帯を狙う。

しか〜し!!また立ちふさがったのは、
またもやあの男。
玄関の扉を開けた途端、目の前には
先月同様、少々不機嫌そうなリョウの顔。
「何か用か?」
俺はこいつの顔を見たいんじゃなく、
初恋の君の笑顔が見たいんだ!!

かくなる上は・・・
「カオリ、いるんだろ?ちゃんとバレンタインの
お返ししたいんだよぉ、だ・か・ら、リョウちゃんお願〜い。
会・わ・せ・て?」
「げっ!?ぞっとするような仕草と声をするんじゃねぇ!!!」

必殺新宿2丁目バージョンのおねだりでひるんだ隙に
アパート内に滑り込もうとした俺だったが、
みごとにリョウのヤツに腕を掴まれた。

「一体、お前はそこまでして何がしたいんだ?(怒)」
「え、だからカオリにバレンタインのお礼を渡しに?」
「・・・今、香は取り込み中だ。俺が渡しといてやるから寄越せ」
「ったく、そんなに愛しのカオリを、誰にも会わせたくないか。
・・・ジェラシー、か?(笑)」
「そんなんじゃねぇ」

どんどん不機嫌さが増してゆくリョウの表情に、
そろそろ潮時かと踏む。

「絶対カオリに渡してくれよ!」
「わぁったって」
渋々ながら、カオリへのお返しをリョウに渡す。

バタン!!
目の前で閉められるアパートの扉。

だが、しか〜し!!
リョウ対策はこれだけではない!!
渡したキャンディーは筒状のパッケージに入っており、
一粒ずつしか取り出せない。
その底には防腐剤も兼ねた盗聴器。
これで、キャンディー食べ終わるまでカオリの側に
置かれているはずだ。

急いで帰って受信機をつけてみると、
ちょうどリョウがリビングに戻ったところだった。

『何〜?誰か来てたの〜?』
『あ〜ん?誰もいなかったぜ?それよりメシ〜』
『ちょっと待ってて。もうすぐだから』

どうやら、料理中だったらしい。
カオリが取り込み中だというのも、あながち嘘ではなかった
という事か。
それにしても、リョウのヤツ俺が行った事さえ
カオリに告げないつもりか?

『あれ?それはなに?』
『ああ、これな・・・』

NICE!
カオリが、リョウの手の中のキャンディーに気が付いたようだ。

『外に置いてあったぞ』
『外に?キャンディーよね?ミックかしら?』
『何もメッセージついてなかったぜ。違うんじゃねぇの』
くそぉ、俺からっていうのさえ、あいつ告げない気だな!
メッセージ、つけときゃあ良かった!

『誰からかわからねぇもん食うの心配だろ?毒味してやるよ』
『え?!っちょ、ちょっと!?』

パコンッ!
蓋を空ける高い音に続き、キャンディーが次々と
リョウの口に放りこまれる音が聞こえてくる。

『毒味なら、全部食べることないじゃない!』
バキッ!!
カオリのそのセリフを最後に、盗聴器はオシャカになった。

心はカオリに渡せないまでも、せめてキャンディーは
渡してくれてもいいじゃないか!?

レポートが、涙に濡れた。


<<<言い訳>>>
えっと、ホワイトデー小話をばと、
先月のバレンタインデーレポートと対になる
(そちらは、StoryのCHページにミックレポ3として
格納いたしました♪)
ホワイトデーミックレポ書いてみましたv
やっぱりミックレポはおバカだなぁ(笑)
でもちょっと今回はかわいそうだったかな?
お返しは、本人にしっかり渡しましょう
という事でv
駄文に最後までお付き合いいただいて
ありがとうございました♪
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