俺はミックエンジェル。 誰がなんと言おうと、敏腕新聞記者だ。 そして、お向かいのアパートのレポートを書く事を 趣味とし、某小説家からの依頼により生業ともしている。 このところ、カオリの日課に変化があった。 朝、決まった時間にジョギングに出かける。 まだ短パン・タンクトップでは肌寒い季節だから 目の保養には少々物足りないが、 トレーニングウェア姿のカオリというのも 新鮮でなかなかオツなものだ。 さて、どうやらジョギングルートで カオリに出会いがあったらしい。 キャッツで会った時に、カオリ本人が 嬉しそうに話していたのだから間違いない。 ゴールデンレトリバーの、ジョルジュだ。 犬と戯れるカオリの姿も、ゲットしたい構図 の一つかもしれない・・・ぐふふv よし、今度カメラを持って公園へ撮りに行こう!! Good idea!! 「香さん、ジョルジュ以外目に入ってない のかしら。あんなに飼い主さんカッコいいのにぃ。 もったいな〜い」 朝の公園でのカオリを想像してにやけそうになっていた 俺を、カスミの一言が現実に引き戻す。 What's!? 朝のジョギングに男の影。 これは、調査の必要がある。 俺は、早速動いた。 俺の情報網を駆使すれば、こんな事わけない。 飼い主の男の身元は、すぐに割れた。 どうやら、結構イケ面らしい・・・もちろん、俺には劣るが。 そして、外資系の大手企業に勤務している。 仕事振りも悪くないとの事だった。 忙しいだろうに、最近は律儀に決まった時間に カオリに合わせたように公園に通っている。 今までは、散歩の時間も頻度も 不定期だったというのに・・・ これは、あまりにわかりやすい。 目的は、カオリだ。 俺のカオリに手を出そうとは、不届きなヤツめ!! 俺は、リョウが聞いたらピクリと眉が動いた後に 人には気付かれる事なく弾丸が飛んできそうな言葉を 心の中で叫び、はたと気付いた。 こんな状態を、あの天邪鬼なクセに独占欲の人一倍 強い男が、ほっておくとは思えない。 それなのに、朝カオリがジョギングに向かっても 後ろをコソコソと付いてゆく奴の姿は 今の所見かけていない。 俺は、キャッツでいつものように油を売っていたリョウに 直接探りを入れる事にした。 「カオリ、ジョギングしてるんだって?」 「あ〜ん?そうらしいな」 気のない返事が、返ってくる。 「また、お前が酷いセリフを投げたせいらしいな。 いいかげんにしろよな、愛想つかされるぞ。 ・・・それでなくても、公園で新しい出会いがあったらしい じゃねぇか」 「犬だろ、犬。そんなに気が合うんだったら、結婚でも なんでもして下さーいって感じだけどな。 喜んで送りだしてやるぜ〜」 ったく、いつも心にもない事ばかり言いやがる。 それでも、犬の事だって言うのに少々おもしろくない空気が 流れていた気がするが・・・本当に素直じゃねぇ奴(苦笑) それにしても、リョウから犬の話は出たが、 飼い主のことは全然出てこなかった。 飼い主の事は知らないだけ、か? それとも、カオリの眼中外なのは わかりきった事だから、気にもしてないのか? 現状では、判断がつかない。 このところ、リョウに昔なじみから裏の依頼が あったらしい。 そんな時に気持ちをあえて乱させるのは、 親友として忍びない。 それが落ち着いたら、飼い主の事を 知っているか改めて確認してやろうと 思っていた矢先の朝、俺は渋々のそぶりをしながら 朝のジョギングへ付き合うリョウを見かけた。 ふむ、どうやら仮説は前者が正しかったようだ。 後日、俺はミス ユカへレポートを提出した。 『番犬リョウ、カオリのジョギングへついて行く』 と題名をつけて。 <<<言い訳>>> あおらさんのリクエストから生まれた、 ミックレポートです(笑) たった最後の2行から、このレポートは生まれました。 番犬リョウが書きたかったんです(爆) 駄文に最後までお付き合いいただいた方、 ありがとうございますm(__)m |