*Storyの『Parfum』のミックレポート編ですv

ミックレポート
〜2008年ホワイトデーにおける原因究明〜


俺はミック・エンジェル。
敏腕新聞記者だ。
副業で、某学生小説家へ
お向かいのレポートを提出している。

最近、リョウとカオリの間に変化を感じる。
何が?と言われるとはっきりと言えないが、
俺の目に狂いはないはずだ。
俺は新聞記者である自分の勘を信じ、
調査を開始した。

まず、自分の書き留めた連日の二人の動向メモを
時系列に並べ、変化が起きた時期を検討する。

おっと、これらのメモは企業秘密ってやつだ。
これ以上は見せられない。

さてメモから推察するに、変化はホワイトデーを
境に起きているようだ。
残念ながら、リョウが何をカオリにプレゼントしたか、
判明していない。
俺の、優れた歌舞伎町界隈の情報網を
駆使したにもかかわらずだ。

最近、リョウの奴は俺の調査を警戒し、
そういった類の購入はどうやら
遠くまで出かけているようだ。
今度情報網の範囲を広げておく事
を検討しなくてはいけないな。

だが、何が違うのだろう。
それが、まだぼんやりとしている。
俺は、こっそりと小型ビデオカメラで
撮影していたホワイトデー前後の
二人の映像を見比べた。

そして、気がついた。
二人の歩く際の距離感が、ほんの少しだが
縮まっている事に。

各個人が心地よく感じるパーソナルスペースが、
そんなに短期間で変化するとも思えない。
まさか二人の身により近づくような出来事が
俺の関知しない所で起きたのか?!
リョウの奴、許せんっ!!

・・・いや、待てよ。
一瞬冷静さを失いかけた俺だったが、
ホワイトデー後の映像をじっくりと再度見直した。

どちらかというと、何かあってどちらかともなく
近づいたというより、リョウが今までよりも
間合いをつめているようだ。

リョウを惹きつけるような変化がカオリに
あるって事か・・・?
・・・よし、後は机上の空論より
確認あるのみっ!
ということで、俺はカオリに
近づく事を決意したのだった。


リョウのヤツがいないタイミングを見計らい、
俺は意を決してカオリへと背後から近づく。
「Hello,カッオリッ♪」
「きゃっ!ってミックかぁ。びっくりするじゃない」
「Sorry,君の姿を見て嬉しくてつい、ね」
振り返った時の驚いた顔も、
その後の笑顔も、いつ見てもキュートだ。

おっと、それは置いといてっと。
早速、調査に入る。
ふむ髪型、化粧に関しては変化はないようだ。
ファッションも・・・もう少し露出が多くても
良いくらい奥ゆかしい。
「ちょ、ちょっと何?」
おっと、観察に熱心になってしまって
近づきすぎてしまったようだ。

「ごめん、ごめん。いつもキュートなカオリの原因は
何かなぁ〜と思って」
「何、訳わかんない事言ってるの?」
ほんの少しだが後ずさりされたのには少々傷ついたが、
それは日本人のほうがパーソナルスペースが
広いという事で、俺自身を慰める。

笑顔でいてくれているし、嫌われてる訳ではないさ。
メゲルナ、ミック。

それに、カオリが後ずさったその瞬間に
求めていた答えは判明した。
後ろに下がった際、周囲の空気と共に
鼻先を掠めた春の香り。
これは・・・Cherry blossom.

ふむ、リョウの奴なかなかキザなプレゼントを
したようだ。
そして、自分自身がその香りに誘われてカオリに
無意識に近づいてるってか。
これは、クライアントにしっかり報告せねば。

「カオリ、素敵な香りだね」
「!!・・・ ありがと」
嬉しそうにほほ笑んだ笑顔が、まさに綻んだ桜のようだ。
一瞬その笑顔に誘われ、我を忘れてフラフラとカオリに
寄って行きそうになった俺だったが、
目の端にヤツを確認して冷静さを取り戻した。

「その香りにリョウも誘われているようだから、
気をつけてね」
真っ赤になったカオリと、ひた隠そうとしながらも殺気を
抱えてこちらに近づいてくるリョウにクルリと背を向け、
俺はレポートを書き上げる為にオフィスへと向かった。

ではでは、君らも素敵な春を。See You!
今年も楽しくなりそうだ。

<<<言い訳>>>
ずいぶんと遅くなってしまいましたが、
ホワイトデーのミックレポですv
やっぱりミックには気づいてもらって
レポートしてもらわないと、と思いまして(笑)
少しでも楽しんで頂けると嬉しいですvv
駄文に最後までお付き合いいただいた方、
ありがとうございますm(__)m

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