*Kiribanのスウ様のリクエスト『Cocktail Time』『Cocktail Time Ver Kaori』のミックレポ編ですv

ミックレポート〜噂の核心に迫れ!〜

俺はミックエンジェル。
敏腕新聞記者だ。

新聞社の仕事で一週間程
新宿を空けていたというのに、
久々に顔を出したキャッツで
投げかけられた言葉は不可解なものであった。

「ミック、かずえさんを悲しませちゃ駄目よ。
・・・かずえさんが可哀想よ」
What did you say!?
全く身に覚えのない非難に目を白黒させながら、
新宿を離れていた事を伝えて非難の訳を尋ねると、
どうやら3日前に新宿界隈のバーの前で
俺が香の頬にキスしたとの噂がこの一帯で広まっているらしい。

かずえは、確かちょうど3日前から
学会に出席する為、出張中のはずだ。
多分、噂は聞いてないだろう。
その事だけが救いだ。

「ごめんなさい、ミック。早とちりだったわ。
金髪で香さんが警戒しないで一緒に飲む相手なんて、
あなた以外浮かばなくて。じゃああれは誰だったのかしら?」
「ミキのせいじゃないさ、噂に尾鰭がつくのはつきものだから」

だが、全くの濡れ衣を着せられて黙っているような俺ではない。
俺はすぐに調査を開始した。
情報屋と接触する度、目撃した訳ではなく
例の噂を聞いた奴らは
俺に警告を含んだ同情の声をかけた。

「ミックさん、冴羽さんに刃向かうなんて無謀だせ。
香ちゃんに手を出したんだ、首を洗って覚悟して
待っていた方がいい」
「悪い事は言わん、逃げたほうが身の為だ」
口々にそう言われても、身に覚えのない事に
ビクビクするなんてまっぴらごめんだ。

必死になって実際に目撃したヤツを探し回り、
そしてやっと見つけ出した。
そいつは、たまたまそのバーで飲んでいた
駆け出しの情報屋だった。

ヤツの証言によると、3日前確かに
カオリは金髪の男とお酒をバーで
飲んだ事は事実らしい。
相手はサイドカー、そしてそいつは
カオリにアレキサンダーを
プレゼントしたらしい。

アレキサンダーをプレゼントする辺り、
思いっきり下心を感じる。
アレキサンダーは、イギリス王エドワード7世が
アレキサンドラ王女と結婚した時に
捧げたカクテルなのだから。

しかも、帰り際に香の頬にキスして
立ち去ったというのだから、そんな気障男を
絶対許せるもんじゃない!!

では、その男は一体誰なのか?
俺では、断じてない。
「ミックさん、すみません。俺そんなネジ曲がって
情報が流れてるなんて知らなくて・・・」
俺が凄い形相で会いに行ってしまったせいで、
情報屋の彼は自分が情報を流した事を
俺が怒ってると勘違いしたようだ。

今にも泣きそうな彼の肩を叩いて、宥める。
「キミを怒ってるんじゃないさ。気にしないでくれ」
情報屋が、情報を流すのは当たり前。
そう、俺が腹をたててるのは
そんないい思いをしたヤツが
俺という隠れ蓑を使って上手く逃げている事にだ。
これでリョウにまで俺がつけ狙われては、割があわない。

俺は、前後数日に新宿一帯で起こった出来事を
情報屋からかき集めた。
何か手掛かりがあると確信していたわけじゃなかったが、
新聞記者の血が何となく騒いだのだ。

そして、その夜不法賭博場にて一人の男が暴れ回り、
それが原因で世間の目に曝される事となり
壊滅した出来事が出てきた。

しかも、その暴れ回ったヤツの風貌は金髪に
Blue eyes。

ビンゴのようだ。
やはり、裏のヤツだったか。
俺は躍起になってそういった風貌で、
リョウを狙っているスィーパーで
最近入国したヤツがいないか調べた。

しかし、該当者はなし。
風貌だけでも該当しそうなヤツも見つからず、
調査は暗礁に乗り上げた。

俺の情報網に露ほども引っかからない
スィーパーじゃあリョウも探し出すのに
苦労してるだろうなぁ・・・
ん?!待てよ?

そこまで考えが至った時、俺はある事実に
気が付いた。
天の邪鬼だが独占欲は人一倍強いあの男が、
何故まだ動いていないのだろう?

尾鰭が既についているこの一帯の噂では、
相手は俺という事になっている。
既にリョウから問答無用で攻撃されるなり、
真実を問う為に接触があって然るべきだ。

だが、俺との接触も、情報屋にそれとなく聞く
リョウの姿も皆無だ。
それは、ヤツの正体をリョウが知っている事を
示していないか?

俺は再度不法賭博のガサ入れ資料に目を通し、
そして現場に到着した警察メンバーの中に
サエコの名を見つけ、前日にサエコが
リョウに依頼をしていたという情報により
合点がいった。

リョウ=ヤツだ。
そうすれば、すべて納得がゆく。
カオリが無意識かもしれないが見知らぬ男に
警戒を解いた訳も、リョウが動かない理由も、
ヤツが何故サイドカーを頼んだかも。
サイドカーのベースをブランデーからラムに変えれば、
XYZになる。

ったく、な〜に格好つけて正体匂わせてんだか。
な〜にがジェームズだ!お前は英国のスパイかっ!?

しかも美味しいところを持っていった上、
俺に容疑がかかっているのをわかってて
あえて静観しやがって。

この話題は、是非とも俺のクライアントに
報告しないとな。
俺は『シティーハンターの二人の甘い話題』を
学生小説家ミスユカに提供する契約を
交わしている。

変装してデートしたなんて、クライアントが
喜ぶような内容だ。
ミスユカは先日連載が忙しくて
二人になかなか会いに行けないとボヤいていたが、
このレポートを提出したら突撃取材を敢行する事
間違いなしだ。

俺は怒りのままレポートにまとめながら、
どうしたらこのネタでさらに反撃できるかを
考えていた。
さて、楽しくなってきた。
では、これにて失礼。See you!


<<<言い訳>>>
何故あの二種類のカクテルだったのか
説明してくれる人が欲しくて、
うちのサイトではお馴染みになりつつある
ミックに調査してもらいました(笑)
少しでも楽しんで頂けると嬉しいですvv
駄文に最後までお付き合いいただいた方、
ありがとうございますm(__)m
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